プラスチック分析(樹脂分析)
プラスチック材料(樹脂材料)のベースポリマー種類(樹脂種類)、組成、強化材(種類、配合量)などは、下記の方法によりプラスチック材料分析評価、プラスチック材料分析評価(樹脂材料分析評価) 、樹脂添加剤分析評価を行います。また、材料中の微小な異物等の分析も対応可能です。
1. プラスチック成分分析(樹脂成分分析)、プラスチック組成分析(樹脂組成分析)、プラスチック材質分析(樹脂材質分析)、プラスチック材料分析(樹脂材料分析)(ポリマー種類の定性分析)
プラスチック成分 材料分析(樹脂成分 材料分析)は、一般的に下記方法で分析を行います。
- (1)示差走査熱量分析(DSC)
- 熱可塑性プラスチック(熱可塑性樹脂)は、熱を徐々に加えるとガラス状態(固体)から分子が動き始めるガラス転移温度を経て、結晶性樹脂の場合には結晶が溶ける融点を超えると液体に変化します。DSCでは、『ガラス転移温度』、『融点』、『結晶化温度』などを測定することができます。樹脂種(ポリマー種)の特定に有効です。
- (2)赤外分光分析(FT-IR)
- ペレットや成形品をフィルム状等に加工して、赤外線を照射して得られる吸収スペクトルとIRデータからポリマー種を特定します。
特に有機化合物の構造決定に有効です。微小な異物は顕微FT-IRで確認します。 - (3)元素分析装置付き走査型電子顕微鏡(SEM-EDX)
- SEMは走査型電子顕微鏡、EDXはエネルギー分散型X線分光法です。元素特有の波長(エネルギー)を持つ特性X線を検出することで多元素を一気に検出します。成形品の異物の特定に有効です。
上記方法で成分分析を行う場合、通常は複数の方法によって同定されます。
ご依頼時にご相談申し受けます。
機器分析リンク:https://www.plastics.toray/ja/technical/technicalsupport/tec_006.html
2. 無機充填材種類の分析(含有量、成分、形状)
電気炉で樹脂ペレット(成形品)を灰化し、灰分量測定により、強化材の配合量を算出します。
その後残渣物のSEM観察、XMAスペクトル、IRスペクトルから強化材の形状、成分分析から強化剤種の同定を行います。
3. 繊維状強化材(ガラス繊維(GF)、カーボン繊維(CF))の添加量と長さ測定(繊維長測定)
- プラスチック(樹脂)に含まれる強化(GF/CFなど)の添加量と長さを確認することができます。
- GFやCFの添加量や長さは、プラスチックの機械的強度を決定づけるパラメータです。
- 樹脂成分を電気炉で灰化、取り除き、繊維状強化材を取り出します。繊維状強化材割合から添加量を算出。
- 取り出した繊維状強化剤のスキャナー画像を用いて繊維の長さを測定します。
- 通常800本程度の繊維から繊維長分布、平均繊維長を測定します。(測定本数は目安ですのでご希望があればご相談ください)
4. プラスチック添加剤分析評価(樹脂添加剤分析評価)・添加剤の成分分析(添加剤分析、内部添加剤、外部添加剤)
- 原料ペレットや成形品中に存在する添加剤の種類・添加量を推定します。
- ペレット内部添加剤を溶媒を用いて抽出し、添加量の算出、FT-IRや、原子吸光等により添加材種の特定を行います。
- ペレット外部添加剤は、ペレットを溶媒洗浄した後、上記同様に分析を行い、添加量、種類を特定します。
5. 異物分析(微小異物混入品の成分分析、プラスチック異物分析(樹脂異物分析))
顕微FT-IRやSEM-XMAにより微少成分の定性分析を行います。異物の原因究明の一助として活用できます。
6. ガラス転移温度、融点、結晶化温度
- 熱可塑性プラスチック(熱可塑性樹脂)は、熱を徐々に加えるとガラス状態(固体)から分子が動き始めるガラス転移温度を経て、結晶性樹脂の場合には結晶が溶ける融点を超えると液体に変化します。
- ペレット、成形品の切り出しサンプル(数mg)を、DSCを用いて昇温、降温時の熱量変化を測定することで、『ガラス転移温度』、『融点』、『結晶化温度』などを測定することができます。
7. プラスチック中の金属元素分析(蛍光X線分析(XRF測定))
樹脂中の環境負荷物質(鉛、水銀、カドミウム、クロム)等の金属元素含有量をXRFを用いて測定を行います。RoHS規制等有害元素のスクリーニング分析として活用できます。
8. 内部クラック観察(X線CT観察)
金属を含まない小型成形品であれば、製品を破壊せずそのままでX線を照射することで、ボイドやクラックなど成形品内部に含まれる欠陥の有無、位置、容積比などを観察(3D画像化)することができます。分析結果から、金型の改善、成形条件の改善効果の把握や、改善のための示唆を与えます。
9. 熱重量分析(TGA)
樹脂を高温に晒したときの重量変化を測定します。樹脂の熱安定性の評価に使用されます。
10. 線膨張係数(熱膨張係数)TMA測定
通常は3mm厚みの角板成形品中央部から、2方向(樹脂の流れ方向、垂直方向)を切削加工(4×5mm程度)した試験片を用いて、熱機械分析(TMA)により一定速度で昇温した時の熱膨張量を測定し、線膨張係数(熱膨張係数)を算出します。
11. 溶液粘度
毛細管粘度計を用いてポリマー希釈用溶液および溶媒の滴下時間を測定し、相対粘度、粘度数を算出します。ナイロン樹脂の場合は、硫酸で溶解させて測定します。
12. メルトフローレート(MFR)
熱可塑性樹脂の溶融時の流動性(流れやすさ)を表す指標です。一定温度で加熱されたシリンダー内で溶融した樹脂に一定の荷重をかけた時にダイスから押し出される樹脂の重量を測定します。単位は、g/10分となります。
13. キャピラリーレオメータ(キャピログラフ)による溶融粘度測定
樹脂ペレットを溶融させ、せん断速度を変えて、溶融粘度を測定します。Share rate(せん断速度)-Viscosity(粘度)、Share stress(せん断応力)を測定できます。
CAE材料物性リンク:https://www.plastics.toray/ja/technical/technicalsupport/tec_003.html
14. 水分率(カールフィシャー滴定法、乾燥減量法)
ナイロン樹脂などのペレット中の水分率をカールフィシャー滴定法、乾燥減量法で測定いたします。
カールフィシャー滴定法は、樹脂をメタノール等で抽出を行い、水分率を測定します。
■樹脂(ポリマー)分析価格事例 【税抜き価格】
(事例1)微小異物分析 | 顕微IR分析 | 25,000円~ |
(事例2)材質分析(組成分析) | DSC(融点、結晶化温度) | 8,000円~ |
FT-IR(フィルム法) | 15,000円~ | |
(事例3)ガラス繊維長測定 | ガラス繊維(GF) | 20,000円~ |
カーボン繊維(CF) | 25,000円~ | |
(事例4)線膨張率測定 | TMA法(-30~150℃、n=1) | 15,000円~ |
(事例5)環境負荷物質調査 | 蛍光X線測定 | 15,000円~ |
これらは代表事例の価格ですので、詳細は個別にお問い合わせをお願い致します。
詳細内容のお問い合わせは下記の「お問い合わせ」ボタンをクリックしてメールまたは電話でお願い致します。
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- ご依頼に則った分析・試験を行います。中間報告やご指定のスケジュールに合わせて対応します。
- ご報告
- 試験結果を、報告書として提出します。試験結果に、ご承諾いただけましたら請求書を送付させていただきますので、期日までに弊社指定の銀行口座にお振込みをお願いします。
プラスチック分析(樹脂分析)代表項目
■ペレット特性:
- 樹脂組成分析(ベースポリマー種類, 充填剤, 添加剤 etc.)
- 異物分析(ペレット等に混入した異物の成分分析)
- 繊維長測定(カーボンファイバー, ガラスファイバー)
- 粘度(溶液粘度, MFR, キャピログラフ, フローテスター)
- 水分率(カールフィッシャー法, 加熱法)
- 末端基(ナイロン, PBT, PET)
- 銅定量分析
■分析試験:
- 異物分析(黒点,異種材混入・・)
- DSC測定(融点Tm, 結晶化温度Tmc, ガラス転移点Tg, 比熱・・)
- 赤外分光分析(ATR法, 液膜法, フィルム法, KBr法, 顕微法)
- 熱量重量分析(TGA法)
- 内・外添加剤成分分析
- 蛍光X線分析(環境負荷物質)
- 走査型電子顕微鏡観察(SEM)
- PVT測定
GF/CF繊維長測定
線膨張係数測定
記載された項目以外の樹脂(ポリマー)分析評価についても、エンプラ評価・分析の知見を活かして、分析方法のアドバイスをさせていただきます。